二日酔いの天使2


会社に車を止め、駅前で飯を食う。

僕が好きな「ベーコンレタス炒飯」を付き合ってもらった。
料理が来る前に、大きなコップで2杯、冷たい水を一気に飲み、「ふぅ〜」とため息をついた三宅さん。
無警戒過ぎるぜ。


ベーコンレタス炒飯は軽い刺激的な味で、三宅さんも気に入ったたしく、三宅さんは僕より先に食べ終わった。
スープも底が見えるくらい飲んで、杏仁豆腐に取り掛かっている。
「少し、回復しました。さっきまで気分が悪さが波のように襲ってきて」と手振りまじりで説明してくれる。
顔色も少し戻った感じである。しかし、目は相変わらず濁っている。(指摘したら、生きちゃいないだろう)




少し時間もあることだし、お茶でも飲もうと煙草の吸える「サンマルクカフェ」の喫煙コーナーに陣取った。
僕は、ブラックのM、三宅さんはストレートティ。お互い何もいれない。どこまでも水分にこだわっているようだ。


隣のおじさんがやたら話しかけてくる。
シュガーは取り放題であるとか、ミルクをたっぷり入れればカフェオレになるだとか・・・だからおじさん放っておいてくれ。
僕は、おじさんから、話しかけられれ、無視もできないので、ひたすら三宅さんに話しかける。
「デートなんだからねえ」と何かの拍子に言ったら、三宅さんは濁った眼を見開き「デートだったんですか?」とオウム返しに問い返してきた。
「いえ、腕を組んで歩こうとか、そんなんじゃないんです。ほら、気分ですよ、気分ね」
「でも、aさんなんかに、デートだと言えないですよ、大先輩ですから」だから、同期のおばさんじゃデートにならないんだからね。その辺わかってくれないかな?

ま、デートの話題は僕がウヤムヤにした。



路面電車で、市民会館前まで。既に、開場していたので、入る。
袴姿やら妖艶なドレス姿まで、これは仮装大会なのか?


それにしても、ショールを肩にかけての客への応対はどうなのであろうか。
女性は、ファッションとしての帽子とかは公式の場では許されるのだが、果たしてショールは場末のホテルの女将のようで、僕はどうかと思った。




三宅さんは、席に着くなり、パンフレットを数秒眺めたのち、目をつぶり、こくり、こくりと寝始めた。
「もし、大きないびきをかいたなら、絞め殺してください。覚悟はできてます」そう言い残して睡眠体制に入った。


前半は、三宅さんは演奏が終わるたび拍手をしていたが、間は軽い寝息を立てていた。(絞め殺すほどではない)
休憩時間に、なるべく水っぽいジュースを買って三宅さんに渡した。(水が売ってなかったのだ)
一気に飲みきり、「完全復活です」と宣言した。


後半の頭にモモコの出る「千鳥の曲」がある。1年生ばかりの演奏だそうである。



おお、いたいた。モモコである。全員白いブラウス姿に花をつけての衣装である。
しかし、モモコは何故にあんなに巨乳を強調するようなブラウスを着るのだ?
後で、三宅さんに印象深かったことを尋ねたら「巨乳」という答えが返ってきた。
僕の席からはモモコの右手が見えない。
モモコを観ると、巨乳だけがピックアップして見えるのだ。自慢なのか?



三宅さんが言っていたが
エストや身長等で服を買うと「胸のボタンが留められない」かといって胸の楽な服は他がダボダボになるそうな
(私は関係ないけどと、自虐的にカラカラ笑う)
モモコもそんな基準でブラウスを選んだ結果なのだろうか。俗に言う、パッツン、パッツン状態である。



三宅さんはことのほか、尺八を吹く青年がお好みだったらしく、あれは新鮮でしたと褒めていた。
僕は篠笛を吹く美人の部長さんが、吹くたび、斜に構え、袴と振袖の袖の柄をこちらに向けるので気になってならなかった。
あれは、それとも美人ちゃんがもっと綺麗に見える角度を調整していたのだろうか。



途中の企画モノの時の写真



午後、4時半。三宅さんは元気になった。そして、僕は彼女を送っていけば今日のデート(らしきもの?)は終了である。
元気になりました、ありがとうございます。(違うでしょ、今日はどうもありがとうでしょ)
二日酔いの介抱をしながらのデートは金輪際にしておこう。


もう一度、忘年会で彼女と飲めれば楽しいのだろうが・・・・・