二日酔い天使1

今日は、大学の邦楽部の定期演奏会である。
通称、モモちゃん、影では「巨乳のモモコ」と呼ばれている同期からチケットが2枚回ってきた。


前に書いたように、会社の「三宅」さんを誘っていたのだが、どうも彼女からの前日のメールでは
金曜日に相当ヘビーでハードな飲み会が入っているとのことで
約束の時間に居なかったら、叩き起こしてくださいとのことだった。


何、彼女が酒が強く、かつ好きなもんだから、飲みすぎるのが原因なのだが。


朝一番にモモコの為
、バラやガーベラ、カーネーションで可愛い(少し大人っぽかったか?)アレンジの籠を作ってもらい
オレンジのリボンでデコレーションして、準備完了。


花屋の前の駐車上から、1つの熱気球が見えた(あ、逆光だな)



ゆったりした気分になる。ウキウキ、三宅さんをお迎えに行けるというものだ。
車はきれいにした。
10日も前に、消臭作業も終えた。
アクアなんとかという芳香剤もセットした。
音楽は「押尾コータロー」のスターティングポイントに決めた。
一張羅のベージュのジャケットを着こみ、お口の消臭剤もバリバリと噛み砕き、さあ、お出迎えに行くぞ。



三宅さんが住む会社の寮


1階には、スポーツジムも真っ青の設備が整っており、ジャグジーまであるという(ただし、ジャグジーは壊れて直すアテがないらしい)
ただ、築30年はなろうかという代物で、いろいろ寮生からは文句がでているそうだ。


着いたことを知らせに、携帯を掛ける。誰も出ず留守番電話に。あら、本当に叩き起こすことになるのかしら?
郵便受けで、部屋番号を知る。
3階までエレベーターで上がり、その間に2度目の電話。出ない。二日酔いを確信したね。


308号室、そっとノックをしてみる。
少し大きくノックしながら「おはようございます」と声を掛けてみる。無音。



まさかね、さすがに鍵は掛かっていた。さて、どうしようかと思いあぐねていた時間(約10秒)
「あの・・・おはようございます」マスクにマフラーの女?が濁った白目で廊下の先に立っていた。誰だ?
三宅さんだ。二日酔いの顔色の悪さをデカイマスクで隠そうって魂胆か?



果たして「風邪ですか」と問うと「いえ、そうでもないのですが、予防のような、むにゃ、むにゃ」
もともと酒には強いので外見ではわからないが、濁った白目と顔色の悪さは隠せないですよ。


さあ、行きましょう。何か欲しいものは?
「水分をたっぷりと・・・」力なくつぶやいた。酔い冷ましの水が欲しいのだ。
「すいません、あまり寝てないもので」  あの、既に11時ですが・・・。


車に乗り込み、街中に向かう。
スターティングポイントが心地よいイントロを奏でる。
「何か、好きな音楽はありますか」即答で「なんでもいいです」三宅さん、相当、どうでもいい気分らしい。
しかし、あれこれ迷った僕の立場はどうなる。ま、的を外したということか。



さて、ここから始まる、三宅さんの二日酔いとの戦い、邦楽部の定期演奏会で何が起こるのか?
だいたい、こんなスタートで、デートが成立するであろうか?



続きは、次回へ。